死刑執行で遺族「無念晴らした」…一方で抗議も 奈良県の女児誘拐・殺人事件で死刑が確定した小林薫死刑囚(44)ら 3人の刑が21日、執行された。 被害者の遺族は「無念を晴らしてあげられた」などのコメントを発表。 一方、死刑制度に反対する団体は相次いで抗議した。 ほかに死刑が執行されたのは、2008年3月に茨城県土浦市のJR荒 川沖駅などで2人を殺害、7人に重軽傷を負わせた 金 川 かながわ 真 大 まさひろ 死刑 囚(29)、02年3月に名古屋市でスナック経営の女性(当時61歳) を殺害、現金を奪った加納(旧姓・武藤) 恵 喜 けいき 死刑囚(62)。 死刑廃止を訴える複数のグループは21日夕、東京・永田町で合同記者 会見を開き、死刑執行を批判した。 監獄人権センター事務局長の田鎖麻衣子弁護士は、「最高裁の審理を経 なかったり、1審と2審で死刑の判断が分かれたりした死刑囚を執行した ことは、極めて遺憾」とし、超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」の 副会長を務める社民党の福島党首は「死刑を廃止すべきという海外からの 声は強い。政府は制度を考え直すべきだ」と述べた。 ◇ 2004年に小林死刑囚に殺害された奈良市立富雄北小1年有山 楓 かえで ちゃん(当時7歳)の父茂樹さん(38)はコメントを発表した。全文は 次の通り。 小林死刑囚の死刑が執行されました。これで楓が戻ってくるわけではあ りませんが、少しは無念を晴らしてあげられたかもしれません。 小林死刑囚が自ら犯した罪を 真 摯 しんし に受け止め、刑に向き合ってくれた と信じたいです。 小林死刑囚の命も一つの命であり、今後私達は楓の命、加害者の命の重 さを背負っていかなければなりません。 二度と尊い命が失われることがない社会になることを心から願います。 (2013 年 2 月 21 日 20 時 51 分 読売新聞) 学校週6日制 学力向上へ土曜を活用したい(2 月 18 日付・読売社説) 子供たちの学力向上には、授業時間の確保が必要だ。土曜日の活用は有 力な選択肢だろう。 文部科学省が、公立学校で実施されている「学校週5日制」を見直し、 土曜日に授業を行う「学校週6日制」の導入に向けた検討を始めた。自民 党が先の衆院選で政権公約に掲げていた政策の一つである。 「脱ゆとり」教育を目指した新学習指導要領が、小学校では2011年 度から、中学校では12年度から完全実施され、学習内容や授業時間が大 幅に増えた。 その結果、小学校低学年でも1日に6コマの授業を行う日を設けなけれ ばならない。平日の授業の一部を土曜日に移すことで子供の負担を減らし、 学習の理解度を高めようとの狙いは理解できる。 学校週5日制は1980年代に臨時教育審議会が提唱し、日本教職員組 合も強く要請して実現された。そもそも、貿易摩擦を背景とした、欧米か らの労働時間の短縮要求に応えるため、公務員の週休2日制が先行した経 緯がある。 公立学校では、92年9月から月1回、95年度から月2回と段階的に 導入され、2002年度から完全実施されてきた。 導入の趣旨は、子供が家庭や地域で過ごす時間を増やし、ゆとりの中で 社会体験や自然体験をさせる、ということだった。 だが、そうした目的が達成されているとは言い難い。ゆとり教育による 授業時間の減少が、学力低下を招いたとも批判された。 私立の学校では、土曜日に授業を行うところが多い。週5日制が公私の 学力格差の一因になっているとの指摘もある。保護者の間から土曜授業の 復活を望む声が高まったのも無理はない。 問題の一つは、教職員の休日をいかに確保するかである。土曜に出勤し た分の休日を夏休みや冬休みにまとめて振り替える仕組みなどを整える必 要が出てこよう。 土曜授業については既に、週5日制の趣旨を踏まえながら、その特例と して実施に踏み切る自治体が増えつつある。 東京都では4割を超える公立の小中学校が、保護者や地域住民に公開す る形で年間6日以上、土曜授業を行っている。中には、月に2回実施して いる学校もある。 埼玉県や福岡県などでも同様の取り組みが始まっている。 学校週6日制を全国に拡大するには、こうした実践例をしっかり検証し、 土曜授業の実施頻度や方法について、多角的な検討を進めることが大切で ある。 (2013 年 2 月 18 日 01 時 26 分 読売新聞)